独演『椿の海の記』

~もう一つのこの世を求めて~

全11章連続上演(於・総合藝術茶房喫茶茶会記)フライヤー

原作:石牟礼道子

構成・演出・独演:井上弘久

音楽:吉田水子

テーマ曲作曲:金子忍

 

物語の舞台は4歳のみっちん(石牟礼道子)が暮す昭和初年代(1930年前後)の水俣。

 

常に弱者の側に身を置き、自己流の生きる哲学を語る石工の父・亀太郎。貧しいにもかかわらず、頼ってくる者をすべて受け入れて屈託のない母・春乃。

 

しょっちゅう町筋を徘徊する盲目の老狂女の祖母・おもかさま。

 

みっちんを囲んでいる人々や、いつも行き会う町筋の人々、その人々が暮す栄町通りの様子や歴史、水俣の海に山に生きる生きものたちや神さまたちや妖怪たち、町筋で起こる事件や出来事など、昭和初年代の水俣の人々が生きる世界が、みっちんの目を通して描かれていく。

 

どこか懐かしい匂いや色合い、肌合いとともに、記憶の底に沈もうとしている「もうひとつのこの世」が舞台によみがえる。

 

独演『椿の海の記』全11章連続上演フライヤー
独演『椿の海の記』全11章連続上演フライヤー

バーチャルリアリティーと呼ばれる映像やゲーム。

 

より現実に近いリアルな世界を大人たちは子どもたちに提供し続けている。

 

そこには子どもたちが想像や空想を膨らませる隙間はどこにもない。

 

一見何もなかった貧しい時代は、手作りの遊び道具や独自の遊びを考案させ、子どもたちの豊かな創造力を養わせてきた。

 

昨今の様々な子どもの問題、

いじめ、虐待、自殺、貧困…という数々の現実。

これらは創造力の欠如が大きく関わっている。

 

身近にいる誰かの傷みを想像し、喜びに共感し、哀しみを想い、苦しみを見つめ合うことで、

世界はまるで違った見え方をしてくる。

 

何の飾り気もない素舞台に立つ役者の独演と生の音楽が紡ぐ劇の時間は、観ている子どもたち自身が感じ想像することで、

鮮やかな演劇的世界を繰り広げてゆく。

記憶から消えようとしている時代と、そこに生きた人々を見つめることは、想像力と感受性を育て、

世界を豊かにしてゆく手がかりとなる。


独演『椿の海の記』オフィシャルサイト

 

この作品は、吉田水子企画の子ども劇場おやこ劇場例会作品として提出していますが、

それ以外にも、全国公演を行っています。

作品の詳細は“独演『椿の海の記』オフィシャルサイト”をご覧ください。

ご相談・公演のご依頼も、オフィシャルサイトからも受けています。

 

“独演『椿の海の記』オフィシャルサイト”https://www.tsubaki-dokuen.com/